大事にしているものを、受け継ぐ
昔から、父とあまり会話をしてこなかった。
特に、会社を継いで欲しいとも言われなかった。
それでも、僕は今、何かを受け継いでいる。
一言で言うと、「責任」だ。
昔、会社から帰ってきた父は、疲れているように見えた。
そして、いつも何かを考えている顔をしていた。
いつも気を張り巡らせている。
そんな感じ。
その姿から、僕は「仕事って大変なんだな」って印象を受け取っていた。
尊敬とか、すごいなとか、あんまり思わなかった。
時は経ち、それでも大人になって仕事をする。
色々経験したり、悩んだり、間違ったり。
だんだん「こうしたい!」って、こだわりや、意思が出てくる
その時、改めて見る父の姿は、変わってくる。
今の僕から、昔の父の姿から見えるものは「責任」だ。
家族や会社を、こぼれ落ちないように、危険がないか常に見ている。
大事にしているからだ。
昔は分からなかった。
なんとなくなんだけど。
僕の中の大事にしているものが、知らず知らずのうちに、父と同じに感じてしまう。
いつの間にか。
やり方は違うけれど、やっぱり大事にしているものは一緒だと思う。
それは、受け継ぐ意志があるとかないとかじゃない。
伝わっているものであるんだ。
受け継いだあとに、受け継いだのだと気がつくんだ。